オーストラリアで子どもを育てていると、「州によって教育の仕組みがちがうって聞いたけど、何がどう違うの?」と気になることがありますよね。
実は、オーストラリアは“州ごとに教育省がある”ため、それぞれが少しずつ独自の制度や方針を持っています。大きな枠組みは似ていますが、入学のタイミング、呼び名、卒業資格などが違っていたりします。
ここでは、子育て中のママにも分かりやすいように、オーストラリア主要州・準州の教育制度のちがいを、やさしく、読みやすくまとめてみました。
■ そもそもどう違うの?
オーストラリアは6つの州(NSW・VIC・QLD・WA・SA・TAS)と2つの準州(ACT・NT)から成り立っています。
そして各州・準州にそれぞれ教育省(Department of Education)があり、「何歳で学校が始まるのか?」「卒業試験はどんなものか?」などの方針を決めています。
どこに住んでいるかで、子どもの教育の流れや呼び方も変わってくるので、引っ越し予定がある人や移住を考えている方は要チェックです。
■ 年齢と学年のスタート(州によって呼び方がちがう)
日本では小学校は「1年生」から始まりますが、オーストラリアでは州によって初年度の呼び方が変わります。
州・準州 | 初年度の呼び名 | 義務教育の開始年齢 |
---|---|---|
NSW(ニューサウスウェールズ) | Kindergarten(キンダー) | 満6歳になる年 |
VIC(ビクトリア) | Prep(プレップ) | 満5歳になる年 |
QLD(クイーンズランド) | Prep | 満5歳になる年 |
WA(西オーストラリア) | Pre-primary | 満5歳になる年 |
SA(南オーストラリア) | Reception | 満5歳になる年 |
TAS(タスマニア) | Prep | 満5歳になる年 |
ACT(首都特別地域) | Kindergarten | 満5歳になる年 |
NT(ノーザンテリトリー) | Transition | 満5歳になる年 |
ちょっとややこしいですが、たとえば「Kindergarten」と呼ばれている学年が、州によって「Prep」「Reception」などと呼ばれるだけで、子どもの年齢や学びの内容は大きく変わりません。
■ 小学校と中学校の区切り方も違う?
オーストラリアでは「Primary(小学校)」「Secondary(中学・高校)」という分け方が基本ですが、何年生までがPrimaryかも州によって少しちがいます。
州・準州 | Primaryの学年範囲 |
---|---|
NSW・VIC・TAS・ACT | Kindergarten/Prep〜Year 6 |
QLD・WA・SA・NT | Prep〜Year 6(※Year 7から中学) |
特に注意が必要なのがYear 7の位置づけです。
・NSWなどではYear 7から「Secondary School(中高)」
・QLDやWAでは、以前はYear 7まで小学校でしたが、今は多くの州でYear 7から中学扱いになっています
■ 卒業資格と試験制度の違い
高校最後の2年間(Year 11〜12)では、大学進学や将来の進路に関わる重要な時期になります。ここでも州によって卒業資格や試験が違います。
州・準州 | 卒業資格の名称 |
---|---|
NSW | HSC(Higher School Certificate) |
VIC | VCE(Victorian Certificate of Education) |
QLD | QCE(Queensland Certificate of Education) |
WA | WACE(Western Australian Certificate of Education) |
SA | SACE(South Australian Certificate of Education) |
TAS | TCE(Tasmanian Certificate of Education) |
ACT | ACT Senior Secondary Certificate |
NT | NTCET(Northern Territory Certificate of Education and Training) |
大学進学を考える場合、これらの卒業資格に加え「ATAR(大学入試共通スコア)」を取得します。これは全国共通の大学進学スコアで、選択科目の成績や試験結果から算出されます。
■ カリキュラムは全国共通?
基本的には全国共通の枠組み「Australian Curriculum」が存在し、それに沿って各州が内容を調整しています。
たとえば英語、数学、理科、社会、健康・体育、アート、言語などが必修科目とされており、その中でICT(情報技術)や倫理、国際理解といった要素も取り入れられています。
ただし、宗教教育や外国語教育のあり方、宿題の量や評価の仕方などは学校によって差が大きいため、個別に見ていく必要もあります。
■ 州による教育の雰囲気や価値観のちがい
教育制度だけでなく、実際の教育の「雰囲気」も州ごとに違いがあります。
- NSW(シドニー):学力重視の家庭が多く、セレクティブスクール(選抜制公立校)も人気。
- VIC(メルボルン):芸術や探究的学習に力を入れている学校も多く、多様な教育スタイルがある。
- QLD:のびのびとした校風が多く、実践的な学びに重きを置いている印象。
- SA・WA・TASなど:自然とのふれあいを重視し、地域社会との関わりも大切にする傾向。
どの州も子どもの個性を伸ばす教育を大切にしていますが、どの地域に住むかによって「子どもに合った環境かどうか」は変わるかもしれません。
全国共通の枠組み:オーストラリアン・カリキュラム
オーストラリアでは、全国共通の教育カリキュラム「Australian Curriculum」が導入されており、英語、数学、科学などの主要科目において、学生が学ぶべき内容が定められています。このカリキュラムは、すべての州・準州で採用されており、教育の一貫性を保つことを目的としています。
州・準州ごとの教育制度の違い
ニューサウスウェールズ州(NSW)
- カリキュラムの特徴: NSWは、全国共通のカリキュラムを基にしつつ、独自のシラバスを開発しています。
- 教育スタイル: 最近の改革では、明確で段階的な指導法(explicit instruction)を重視し、基礎的な読み書き能力の向上を目指しています。
ビクトリア州(VIC)
- カリキュラムの特徴: VICは、全国共通のカリキュラムを基にした「Victorian Curriculum」を採用しています。
- 教育スタイル: 探究的学習や芸術教育に力を入れ、多様な教育スタイルを提供しています。
クイーンズランド州(QLD)
- カリキュラムの特徴: QLDは、全国共通のカリキュラムをそのまま採用し、州独自の補足資料を用いて教育を行っています。
- 教育スタイル: 実践的な学びやのびのびとした校風が特徴とされています。
西オーストラリア州(WA)
- カリキュラムの特徴: WAは、全国共通のカリキュラムを基にしつつ、州独自のカリキュラムを開発しています。
- 教育スタイル: 自然とのふれあいや地域社会との関わりを重視しています。
南オーストラリア州(SA)
- カリキュラムの特徴: SAは、全国共通のカリキュラムを採用し、州独自の教育方針を取り入れています。
- 教育スタイル: 地域社会との連携や自然体験を重視した教育が行われています。
タスマニア州(TAS)
- カリキュラムの特徴: TASは、全国共通のカリキュラムを採用し、州独自の教育方針を取り入れています。
- 教育スタイル: 自然とのふれあいや地域社会との関わりを重視しています。
オーストラリア首都特別地域(ACT)
- カリキュラムの特徴: ACTは、全国共通のカリキュラムを採用し、州独自の教育方針を取り入れています。
- 教育スタイル: 多文化共生や探究的学習を重視しています。
ノーザンテリトリー(NT)
- カリキュラムの特徴: NTは、全国共通のカリキュラムを採用し、州独自の教育方針を取り入れています。
- 教育スタイル: 地域社会との連携や自然体験を重視した教育が行われています。
まとめ
オーストラリアの教育は、州ごとにちがう名前や流れがあるので最初は戸惑うかもしれません。でも、どの州でも子どもたちが伸び伸び学べるような工夫がたくさんあります。
もし引っ越しを考えているなら、その州の教育制度や特色を事前に調べておくことで、子どもにとってより良いスタートが切れるはずです。
「この地域はこういう特徴があるから、うちの子には合いそう」
「この州はサポートが手厚いから安心」
そんなふうに、家族のライフスタイルに合わせて教育の選択をしていけたらいいですね。
気になった州があれば、実際に教育省のウェブサイトを見てみるのもおすすめですよ。